習志野の千葉県民司法書士事務所

債務整理 千葉県習志野市自己破産 千葉県習志野市

過払いの判例A

借入への充当の可否について

1.平成19年2月13日最高裁第三小法廷判決(民集61巻1号182頁)
    本判決は,基本契約が存在しない場合の2個の並列する貸付を対象としているが,完済後の第2借入の事案についても判断しているとされる。すなわち「特段の事情(その内容は?1個の基本契約が締結されているのと同様な関係の存在 Aまたは「特約」〈「合意」〉の存在)がない限り」第1の貸付の過払い金は,第2の貸付には充当されないとした。従って「特段の事情がある」ことを証明すれば,完済後借入を含む第2の貸付に充当されることになる。
  「貸主と借主との間で基本契約が締結されていない場合において,第1の貸付けに係る債務の各弁済金のうち利息の制限額を越えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生し(以下,この過払金を「第1貸付け過払金」という。),その後,同一の貸主と借主との間で,基本契約が締結されているのと同様の貸付が繰り返されており,第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか,・・・上記特段の事情のない限り,本件第1貸付けに係る債務の各弁済金のうち過払金となる部分は,本件第2貸付けに係る債務に充当されないというべきである。」
 ≪補足≫
  特段の事情とは
  ア 同一貸主・借主間で,同種の基本契約が締結されているのと同様の貸付けが繰り返されており,第1貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていた場合
  イ 同一の貸主と借主の間に,第1貸付けの過払金の充当に関する特約が存在する場合
  ウ 上記アまたはイと同視し得るような事情が存在する場合

2.平成19年6月7日最高裁第一小法廷判決(オリコ判決)(民集61巻4号1537頁)
    本判決は,カードによるリボルビング貸付契約の場合は,第2借入への過払い金の充当の合意が存在するとした。
   「弁済によって過払い金が発生しても,その当時他の借入金債務が存在しなかった場合には,上記過払い金は,その後に発生した新たな借入金債務に当然に充当されるものということはできない。(略)そうすると,本件各基本契約は,同契約に基づく各借入金債務に対する各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当した結果,過払い金が発生した場合には,上記過払い金を,弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより,弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。」

3.平成19年7月19日最高裁第一小法廷判決(エイワ判決)
    本判決は,基本契約が存在しない場合に,多数回の貸付が,時間的に接着して反復継続し,同様の方法で行われた場合には,第2借入への過払い金の充当の合意が存在するとした。
 「・・・従前の貸付けの切替え及び貸増しとして,長年にわたり同様の方法で反復継続して行われたものであり,・・・前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであるというから・・・本件各貸付けが1個の連続した貸付取引である以上,本件各貸付けに係る金銭消費貸借契約も,本件各貸付けに基づく借入金債務について制限超過部分を元本に充当し過払金が発生した場合には,当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。」

4.平成20年1月18日最高裁第二小法廷判決(民集62巻1号28頁)
    本判決は,第1の基本契約に基づく借入に過払い金が生じた場合,その後に締結された基本契約に基づく借入が,「事情」を判断し,事実上1個の取引と評価できるときは,新たな借り入れ債務に充当するという合意が存在するとした。
    「1 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されない。
2 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合において,下記の事情を考慮して,第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができるときには,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を第2の基本契約に基づく取引により生じた新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するものと解するのが相当である。 」
≪補足≫
事実上1個の連続した貸付取引の考慮される事情
  ア 第1取引期間の長さ
  イ 空白期間の長さ(アとの比較考量)
  ウ 契約書返還の有無
  エ カードの失効手続きの有無
  オ 空白期間における貸主と借主の接触状況
  カ 第2の基本契約が締結された経緯
  キ 利率の異同等
   を総合考慮して判断
    この判決は,平成19年2月13日判決の特段の事情のうちの「特約」の内容を具体化したものと,一般的には考えられている。